親族が亡くなった後にすべきこととは?

⑴ 初めに

 親族の方の死は想像したくないものですが、人生の中で誰もが必ず経験する出来事です。残された遺族は、悲しみの中で葬儀や各種手続きをする必要が出てきますが、慣れない手続きで、混乱することも多いと思います。そこで、あらかじめ、身近な方が亡くなった場合に慌てないよう、どのような手続きをする必要があるのかを把握しておくことが重要です。

 なお、以下で説明する手続きは、親族が亡くなった場合に、一般的に必要となる手続きであり、具体的にどのような手続きが必要となるかは、亡くなった方の状況により異なります。

 

⑵ 亡くなった直後に行うこと(1週間以内)

 故人の死後、1週間以内に行うべき手続きは次のとおりです。

・死亡診断書の取得
・死亡届の提出
・火葬許可証の取得
・会社の健康保険の資格喪失届(会社員の場合

 

 死亡診断書は、病院や介護施設に備えられており、医師が故人の死亡を確認して作成し、遺族に発行します。死亡診断書がなければ、死亡届の取得やその後の手続きも行うことができなくなるので、迅速に取得する必要があります。

 

 死亡届は、故人が死亡した日または死亡を知った日から7日以内に提出しなければならないとされています。死亡届の用紙は市区町村の役所で取得することができ、故人の死亡地または本籍地、もしくは届出人の所在地の市区町村役場に提出をします。

 

 火葬許可証申請書は、故人の遺体を火葬するために必要な書類です。通常、市町村役場に「死亡届」と同時に提出します。

 

 故人が会社員であり、会社の健康保険に加入している場合、事業主は、死亡日から5日以内に、年金事務所に健康保険・厚生年金保険者資格喪失届等を提出しなければなりません。手続きがスムーズに行われるように、会社に対しても、速やかに、死亡の事実を伝える必要があります。

 

⑶ 早めに行うべきこと(1ヶ月以内)

 故人の死後、1か月以内に行うべき手続きは次のとおりです。

・世帯主変更届の提出(14日以内)
・国民健康保険資格喪失届の提出(14日以内)
・介護保険資格喪失届の提出(14日以内)
・国民年金・厚生年金の受給停止手続きを行う(14日以内(厚生年金は10日以内))

 

 故人が住民票上の世帯主である場合、市町村役場に対し、世帯主変更届を提出する必要があります。

 

 故人が国民健康保険に加入している場合、市町村役場に対し、国民健康保険資格喪失届を提出し、保険証を返却する必要があります。なお、市町村によっては死亡届を提出することで、国民健康保険資格喪失届の提出が不要になるところもありますので、詳細は提出先にご確認ください。

 

 また、介護保険に加入していた人が亡くなった場合には、故人の住民票のある市町村役場に対し、介護保険資格喪失届等を提出する必要がある場合があります。

 

 公的年金を受給している人が亡くなった場合、年金受給権者死亡届の提出など、年金の受給停止手続きが必要となります。国民年金・厚生年金の受給停止手続きは、市町村役場ではなく、年金事務所や年金相談センターで行うものなので、注意が必要です。

 

 また、法律で期限が定められているわけではありませんが、公共料金の契約変更や解約についても早めに行う必要があるでしょう。

 

⑷ 少し落ち着いてからやること(3~4ヶ月以内)

 故人の死後、半年以内を目途に行うべき手続きは次のとおりです。

・遺言、相続人・相続財産の調査
・相続放棄(3か月以内)
・準確定申告(4か月以内)

 

 故人の財産を相続するかどうかを判断するために、故人が生前有していた財産関係について確認をすることが重要です。

 

 故人の財産よりも債務の方が大きい場合、相続放棄を検討すべきです。相続放棄は、原則として故人が亡くなってから3ヶ月以内に手続きを行う必要があるため、注意が必要です。

 

 故人が遺言を作成していた場合には、遺言の内容を早めに確認することが重要です。特に、故人が作成した遺言が自筆証書遺言(故人が手書きで作成した遺言)の場合、家庭裁判所で検認の手続を行う必要があります。

 

 確定申告をしなければならない人が亡くなった場合、相続人などが被相続人の名義で所得税の申告を税務署へ行わなければなりません。これが、準確定申告です。所得税は、その年の1月1日から12月31日までの課税所得に対してかかる税金であり、確定申告が必要な人が亡くなった場合、1月1日から亡くなるまでの分の所得税を申告することとなります。特に、自営業者、賃貸物件の大家、年間収入が2000万円以上の給与所得者、2か所以上から給与を得ている人、一定の公的年金を得ている人などが亡くなった場合には注意が必要です。

 

⑸ 忘れずにやること

 故人の死後、期限まで余裕があるからといって忘れてはいけない手続きは次のとおりです。

・相続税の申告(10か月以内)
・遺産分割協議

 

 故人の相続財産の調査と並行して、相続財産をどのように分割するかを決める、遺産分割協議を相続人間で進めることも必要です。ここで、遺産分割の内容が決まれば遺産分割協議書を作成します。相続人間で分割協議がまとまらない場合には、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てて、調停手続を行う必要が出てきます。必要に応じて、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

 

 また、故人の相続財産の金額が一定の金額を超える場合、遺産分割により相続財産を取得した相続人は、故人が亡くなってから10か月以内に、相続税の納付をしなければなりません。相続税の申告は、これを忘れると、無申告加算税や延滞税が発生するので注意が必要です。10ヶ月以内に遺産分割協議が成立しない場合でも、暫定的に法定相続分に応じた相続税を納付することも検討すべきでしょう。

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