Q&A 遺産分割調停が遠方に申し立てられた場合
質問
父が死亡し、母・兄・私が相続人となったのですが、話し合いがつかず、兄が、母の住所地を管轄する裁判所に、遺産分割の調停を申し立ててきました。しかし、私は現在、遠方に住んでいるため、調停に出頭すると、毎回交通費がかることとなり、困っています。裁判所に行かずに、調停に参加する方法はないのでしょうか。
回答
当事者が遠隔地に居住している場合や病気で出頭が困難な場合などで、裁判所が相当と認めるときは、電話会議システムの利用により、裁判所に出頭せず、電話での通話によって、調停手続に参加することができます(家事事件手続法258条1項、54条1項。ただし、証拠を取り調べる場合を除きます)。
基本的には、どこの裁判所でも利用できるようですが、念のため、事前に管轄裁判所へ確認された方がよいでしょう。
また、当事者間で分割方法につき合意がなされ、調停を成立させるときにも、遠隔地にいる当事者が、事前に調停委員会から示された調停条項案に合意する旨を書面で提出しておけば(真意を確認するため、印鑑登録証明書の添付が求められることもあります)、調停を成立させることができます(家事事件手続法270条1項)。
したがって、これらの制度を利用すれば、調停の最初から最後まで、出頭せずにすむ場合があります。