Q&A 子の相続放棄の注意点

Q&A

 

質問

2週間前に夫が亡くなりました。相続人は、妻である私と、未成年の子供1人です。夫の遺産は、住宅ローンが残っている自宅不動産しかありません(オーバーローン状態)。私が住宅ローンを支払っていくことにして、子供には相続放棄をさせようと考えていますが、この際に気を付けることはありますか。なお、夫の両親は既に他界していますが、兄が1人います。

 

回答

未成年のお子様の相続放棄は、本来、法定代理人であるあなたが手続を行います(なお、この場合の熟慮期間の起算点は、未成年者ではなく、法定代理人の主観を基準に決定され、「法定代理人が未成年者のために相続の開始があったことを知った時」から起算されます)。
しかし、本件のように、お子様のみ相続放棄する場合、あなたの相続分が増えることになるため、利益相反行為(民法826条)に該当すると考えられています。たとえあなたに、子供たちに債務を負担させたくないという考えがあったとしても同様です。
そこで、お子様のみ相続放棄させる場合は、裁判所に特別代理人の選任を申し立て、当該特別代理人が、お子様の相続放棄を代理して行うことになります。
なお、お子様のみが相続放棄をした場合、お子様は初めから相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。そうすると、相続人は、あなただけでなく、第3順位であるご主人のお兄様も相続人となり、相続債務を負うことになってしまいます。そのため、迷惑をかけたくないということであれば、義兄にも相続放棄させることが考えられるでしょう。

 

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